当鍼灸院にも片頭痛・緊張型頭痛・群発性頭痛を訴える患者さんが来院されます。なかには長年頭痛に悩まされているが、その頭痛がどのタイプになるのか、患者さん自身もよくわかっていないケースもみられます。

現代医学からみた頭痛

頭痛には、上記の片頭痛・緊張型頭痛・群発性頭痛などの頭痛そのものが痛みの原因である一次性頭痛脳出血・脳腫瘍など別の病気に伴い頭痛が出現する二次性頭痛の2種類があります。一次性、二次性の頭痛の割合は9:1であるとされています。2次性頭痛に鑑別される、特に脳疾患に関連する頭痛(今までに経験したことのない突然の強烈な頭痛/発熱や全身症状/痛みの種類が変化するもの)では、生死に直結するため躊躇せず早い段階で医師に相談する必要があります。

一次性頭痛を見分けるには、痛みの頻度と種類を知ることが重要です。

緊張型頭痛 (肩こりを伴う)毎日~週に2、3回出現する重く締め付けられる痛み
片頭痛 (目がチカチカ、ギザギザの線が見える・吐き気)月に1~2回 ズキズキする痛み
群発性頭痛 (流涙・鼻づまり・瞼が下がる)ある時期に集中する、目の奥がえぐられる痛み

頭痛の一般的な治療法

現代医学では、偏頭痛は、脳血管の拡張が原因であると考えており、頭痛発作が起こってからトリプタン(偏頭痛薬)を服用する。

緊張型頭痛には筋弛緩薬や精神安定薬を服用し、局部を湿布する。ー西田皓一先生の著書よりー

東洋医学には、刺鍼するという独自のアプローチ法があります。

この刺鍼するというアプローチ法が頭痛に大きな威力を発揮してくれます。当院には多い順に緊張型頭痛、片頭痛、まれに群発性頭痛を訴えて来院されます。3タイプとも「病院で診断がついた」あと、長年の持病として、頭痛薬を長期にわたり服用、慢性頭痛化している例が多いです。

当院での頭痛へのアプローチ法一覧

• YNSA(山元式頭鍼療法)

「YNSA」は脳を刺激して、中枢神経や脳のさまざまな器官、自律神経や脳神経に大きく働きかけます。よってこれらの症状に、大きな効果をもたらすことがはっきりとわかります。

「YNSA」では、手や足など体の部位とつながる【基本点】、額にある目、鼻、耳、口につながる【感覚点】、大脳や小脳、脳幹とつながる【脳点】、心臓、胃、肝臓といった内臓につながる【Y点】、視覚や嗅覚、聴覚などの感覚や顔面の筋肉をコントロールする視神経や三叉神経、顔面神経などにつながる【12脳神経点】などを用い、さまざまな症状にアプローチします。

• 赤羽式知熱感度測定法と皮内鍼治療

皮内鍼の考案者である赤羽幸兵衛(1885ー1983)は、「知熱感度測定法」や「シーソー現象」などの研究・開発を行い、鍼灸の歴史に大きな足跡を残しました。

12の”経絡のバランス変化”を数値的に捉える測定法は、施術者と患者さんにとって、施術前後の経絡上の変動を数値により共有できるため、客観性を現す方法となります。

経絡機能のアンバランスを測定したあとは、弱っている経絡を興奮させる目的で、”皮内鍼”を使用します。”皮内鍼”は真皮中へわずかに刺し込む方法であり、極く弱い刺激を持続的に与えることができます。

皮内鍼
• 平田式十二反応帯

平田式内蔵十二反応帯と、縦の線経絡の組み合わせにより、東洋医学的診断や鍼灸治療ポイントを割り出すことが可能となります。

当院では、「胃」「胆」「膀胱」などの反応帯への鍼灸施術により、痛みがすばやく消えるケースを多く経験しています。

体表から内臓に作用を及ぼす各領帯の治療ポイントに、セラミック電気温灸器・使い捨てはりを使用します。

平田式十二反応帯

つらい症状から改善された当院での実例

発作的に側頭部がズキン、ズキンと拍動して痛み、片頭痛処方薬を服薬しているが、最近では週に起こる回数が増え、夕方から晩にかけ特に就寝前に毎日のように片頭痛が起こるため来院。

片頭痛と後頭部痛が混在した、混合型の頭痛。YNSA基本点&感覚点、12脳神経点、Y点内臓への鍼治療。精神的ストレスにより引き起こされたと思われる東洋医学的内臓「胆」への鍼灸治療。「来たときは痛かったのに、痛みなく帰れるなんて、思わなかった」との感想-刺針の即効性。

以上のようなアプローチ法を組み合わせて鍼灸治療します。東洋医学による治療法は、現代医学的な病名にこだわりなく東洋医学からみた異常所見に従って鍼灸治療します。是非ご相談ください。

参考文献:「【図解】経筋学」/西田皓一/東洋学術出版社