「心」脳の働き(大脳とくに辺縁系や視床下部の活動)は自律神経系や内分泌系を介して、身体機能と密接に関係しあっています。すなわち、心の動きは何らかの身体的変化を引き起こし、逆に身体的変化は何らかの心理的反応を引き起こす現象を心身相関といいます。例えば恐怖という情動が心拍数を増加させ、自覚的には心悸亢進をもたらし、不安を増大させるような心身相関は生理的に認められるものであり、ある程度にとどまり、かつ一過性であります。しかし、正常ではみられない情動と密接な関係が、特定の器官系に持続して存在すると、「心身症」となって発症することがあります。

鍼灸の臨床で常見されるものとしては、管理業・パソコンを使う仕事などで精神的な負担が増し、筋肉に連続した緊張が続いた場合、筋肉の異常(痛みや硬さ痙攣)となって現れる、肩こり・首背部の重圧感・頭痛・顎関節症・のどの詰まり感(梅核気)などのケースです。この場合、YNSA(山元式新頭針療法)・東洋医学の鍼灸治療を行い、その筋肉異常を取り去ることにより、精神状態も和らげることができます。

心と身体は互いに影響しあい、切り離すことはできないものであります。神経科の専門医にかかるも「どこにも異常がない」といわれた、また器質的な異常がないにも関わらず緊張感・不眠・情緒不安定・やる気がしない・倦怠感などの自律神経失調症状で悩まれている患者さんにとって、想像以上に貢献できるものが、東洋医学鍼灸治療にはあります。是非ともご相談ください。

・参考文献 『臨床医学総論』 /奈良信雄/医歯薬出版株式会社