現代医学からみた耳鳴り・難聴

聴力の低下を難聴といい、外耳・中耳の伝音機構の障害による伝音難聴、蝸牛より中枢側の障害である感音難聴、両方の障害である混合性難聴がある。

耳鳴りとは、外界に音がないのにある種の音、ゴー・ザー・ジーという低音/キーン・ピー・ミーンという高音がしているように耳で感じるものをいいます。

耳鳴りの患者さんの多くは、難聴・めまい・耳閉感などの耳症状を伴い、耳疾患による耳鳴りが多いが、脳血管障害・高/低血圧症・貧血・糖尿病などの全身疾患、あるいは自律神経系や精神的な要因などによっても耳鳴りが生じます。

鍼灸の主な対象は無難聴性耳鳴りでありますが、慢性症例で難聴に伴う耳鳴(メニエール病、突発性難聴、中耳炎後遺症など)あるいは難聴に鍼灸治療を行ない、自覚的な改善がみられることがあります。

東洋医学的な考え方

耳鳴りと耳ろうの名称は、最古の医学書の中でも登場しています。耳鳴りと耳ろうとのあいだには密接な関係があり、耳鳴りは耳ろうの軽傷で、耳ろうは耳鳴りのひどいものとも云われている。

主な病証

腎精不足による耳鳴り・難聴・・・先天的に不足しているもの、栄養の吸収不良によるもの、栄養の吸収不良によるもの、高齢や慢性疾患によるもの、房事(性行為)過多によるものなどにより次第に耳鳴り・難聴となる。

肝火による耳鳴り・難聴・・・不良な精神的刺激をうけて気持ちがふさいだり、あるいは怒ったりして肝火が生じて、突然の耳鳴り、難聴がおこる。頭痛・顔面紅潮・口の中のにがさなどを伴いやすい。

東洋医学には、刺鍼するという独自のアプローチ法があります。

この「鍼をさす」というアプローチ法が耳鳴り・難聴に大きな威力を発揮してくれます。耳鳴り・難聴は患者さんにとって、日常生活またはテレワークなどの仕事をするうえで大きな影響を及ぼすものです。耳鳴り・難聴の現代医学的な考え方は上述でも紹介しましたが、最新の現代医学においても厳密には耳鳴りがどこでおこっているのかは、はっきりとはわかっていません。

当院での耳鳴り・難聴へのアプローチ法一覧

• YNSA(山元式頭鍼療法)

当院にも、耳鳴り・難聴を訴え来院されます。ほとんどのケースでは、YNSA(山元式新頭針療法)をベースに諸症状を改善しています。YNSA(山元式新頭針療法)の耳鳴り治療点は、頭の側頭部上に4点存在します。当院のアプローチでも著効をしめし患者さんにとって非常に有効なアプローチになることと思います。

YNSAでつらい症状から改善された当院での実例

10代の頃より、40年以上続く難聴に悩まされていた患者さんにYNSA(山元式頭鍼療法)の手順に従い基本点、脳幹点、Y点「肝」「腎」、12脳神経点、4箇所の耳鳴り治療点にアプローチし30分置鍼したところ、自分の声の高さも落ち着き、室内の音楽もよく聞こえるとの喜びの声をいただきました。テレワークによるパソコンのスピーカーを通しての仕事スタイルや、相手の口の動きがマスクで見えない中での会話など、つねに苦労をされていたとの事で、YNSAが非常に有効な手段となった症例でした。

•東洋医学的な考察を踏まえたアプローチ

東洋医学的な考察を踏まえたアプローチも実践しています。長い経験のうちに導きだされた「証」、【虚証・腎精不足】【実証・肝火】などの耳鳴り・難聴に関する考察は現代でも同じ法則で運用されており、非常に有効な手段となります。

•深谷式お灸法

このお灸のツボ「窮陰穴」は、耳鳴り・難聴に用いられます。

耳を横に半折して、その頂点の「窮陰穴」に灸治療。

※取穴図を掲載するにあたり「お灸で病気を治した話」鍼灸之世界社/発行者・新間英雄先生にイラスト掲載許可をいただいております。

• 平田式十二反応帯

平田式内蔵十二反応帯により脊髄レベル(脊髄・内臓)の鍼治療を進めます。

電位的な異常をともなう障害分節(デルマトーム)へセラミック電気温灸器・使い捨てはり、円皮針などを使用します。皮膚への刺激が、知覚神経を経由して、自律神経系に伝わり、バランスを調整する働きを助けます。

平田式十二反応帯

以上のようなアプローチ法を組み合わせて鍼灸治療します。東洋医学による治療法は、現代医学的な病名にこだわりなく東洋医学からみた異常所見に従って鍼灸治療します。→耳鳴り・難聴でお困りの方は是非ご相談下さい。

参考文献:「東洋医学臨床論」/東洋療法学校協会/医道の日本社