当院に来院される患者さんの多くは、症状が出現してから、3カ月以上の時間を経ており、なおかつ痛みが広範囲に出現しているケースがほとんどです。
痛みそのものに意味がある皮フや神経の炎症や組織の損傷といった、警告信号としての意味をもつ急性痛のケースとは違い、 慢性痛のケースでは、痛みが脊髄や脳に記憶されたものとなり、お薬や注射ではよくならないという段階にあります。
またこのような段階では、痛み以外に手・足が冷える、睡眠がとりにくい、消化器症状などの不定愁訴もともなっています。
痛みを止めることが重要!(痛み自身が疾患である)
痛みをとめる知識、痛みをコントロールする技術が求められます。
当院では痛みをコントロールする技術はもちろんのこと、痛みをなくすために本当に必要なこと、自分の痛みを知ること、食事や生活習慣(考え方)、エクササイズ(Robert Fulford,D.O.の発案および厚意による。)などの自宅でできる取り組み、養生法(灸)などトータルに取り組んでいます。
当院での慢性痛へのアプローチ法一覧
• 鍼通電
脊髄性の鎮痛の目的のための鍼通電。少し専門用語となりますが、「疼痛局所をさすると痛みが止まる」といったAβ線維を介したゲートコントロールに基づく脊髄性の鎮痛機序を賦活します。
脳性の鎮痛の目的のための鍼通電。脳を活性化するために手や足に2Hz〜10Hzの鍼通電を行い、痛みに関連した線維を興奮させます。下行性疼痛抑制系を賦活する手や足などの遠隔部への鍼治療。
• YNSA(山元式頭鍼療法)
「YNSA」は脳を刺激して、中枢神経や脳のさまざまな器官、自律神経や脳神経に大きく働きかけます。よってこれらの症状に、大きな効果をもたらすことがはっきりとわかります。
「YNSA」では、手や足など体の部位とつながる【基本点】、額にある目、鼻、耳、口につながる【感覚点】、大脳や小脳、脳幹とつながる【脳点】、心臓、胃、肝臓といった内臓につながる【Y点】、視覚や嗅覚、聴覚などの感覚や顔面の筋肉をコントロールする視神経や三叉神経、顔面神経などにつながる【12脳神経点】などを用い、さまざまな症状にアプローチします。
当院で慢性痛に用いる治効機序の一覧
〇末梢性鎮痛(オピオイド受容体を介した鎮痛)
〇脊髄性鎮痛(ゲートコントロールに伴う鎮痛)
〇脳性鎮痛(下行性疼痛抑制系・DNICなどによる鎮痛)
〇筋緊張の緩和
〇局所、または全身の血流改善
〇体性自律神経反射を介した自律神経機能の調整
〇さっか鍼などによる角化細胞を介した免疫・内分泌調整
〇鍼灸治療による神経伝達物質の増加(セロトニンなど)
以上のようなアプローチ法を組み合わせて鍼灸治療します。ご相談ください。