冷え症の症状とは?

冷え性とは、背腰部・四肢など身体の特定の部分だけが特に冷たく感じるものをいいます。冷えを感じる部位は、腰部で最も多く、足、手、腹部と続きます。一カ所だけに起こるわけではなく、「腰や足先がいつも冷たい」といったように、2カ所以上に冷えを感じる場合が経験上多いです。一般的に女性に多くみられます。

主要症状……絶えずの腰部・上下肢・腹部などの冷え

冷え症の原因

一般的に「ひどい冷え症で…」という場合には、冷える体質といった意味があり、他の人はなんでもないのに、自分だけはすぐ冷える、寒さを感じる、部分的に異常に冷える感じがする、といったことを指します。

冷え性には、原因疾患があって起こってくる場合とそうでない場合とがあります。原因疾患には貧血症のほかに大動脈炎症候群、レイノー病、バージャー病などに代表される四肢動脈系の血管障害があります。

原因のはっきりしない冷えは、女性に多くみられ、更年期障害に伴う自律神経系の乱れ・胃腸が弱くて全体的に元気が乏しいなどに由来するといわれます。

鍼灸による体質を変える刺激の作用

当院でも冷え性を訴えられる方は女性に多くみられます。中には学生時分から「手足先の冷感が強い」と何十年も同症状をかかえられている方もおられます。概して、体温は普通の人よりも低め・冷えによりなかなか寝付かれず・顔色は蒼白・胃症状を訴えられる事が多いように思われます。現代医学では、原因のはっきりしない冷えに対し治療法がほとんど見当たりませんが、鍼灸療法にはこれに適応する場合が多いです。

身体の体質改善に向け、全体的施術を行なう必要があります。例をあげると、その要因が骨盤内臓の変調に求められることもあれば、胃腸虚弱または更年期障害に伴う場合もあります。自宅でも根気よく冷え性への灸の指導をおこなうことにより、2~3か月後には身体も軽くなり、手足が温かくなってきたとの声を頂くことが多いです。

当院での冷え症へのアプローチ法一覧

• YNSA(山元式頭鍼療法)

「YNSA」は脳を刺激して、中枢神経や脳のさまざまな器官、自律神経や脳神経に大きく働きかけます。よってこれらの症状に、大きな効果をもたらすことがはっきりとわかります。

「YNSA」では、手や足など体の部位とつながる【基本点】、額にある目、鼻、耳、口につながる【感覚点】、大脳や小脳、脳幹とつながる【脳点】、心臓、胃、肝臓といった内臓につながる【Y点】、視覚や嗅覚、聴覚などの感覚や顔面の筋肉をコントロールする視神経や三叉神経、顔面神経などにつながる【12脳神経点】などを用い、さまざまな症状にアプローチします。

• 平田式十二反応帯

平田式内蔵十二反応帯により熱鍼刺激を進めます。

電位的な異常をともなう障害分節(デルマトーム)・冷えを感じる帯状の知覚過敏反応ポイントへセラミック電気温灸器・使い捨てはり、円皮針などを使用します。

平田式十二反応帯
• 自宅で実践する冷え症へのお灸の指導

上肢への血流改善のため、曲池・手三里へのお灸

下肢への血流改善のため、解谿・懸鐘・三陰交へのお灸

NOTE. 私自身も足への血流改善のため、解谿・懸鐘・三陰交へのお灸は日課として数年続けています。

冷え性への灸のアプローチつぼ
• 棒灸(ぼう灸)

棒状の灸の一端に火をつけ、それを皮膚に直接つけないで、ツボに近づけたり遠ざけたりしながら、温度を加減して行う手法になります。

皮膚の表面が赤味を帯びてきて(フレア現象)、体の中に温かみがしみ通るように感じたら、その時点で終了します。非常に気持ちの良いものです。

以上のようなアプローチ法を組み合わせて鍼灸治療します。東洋医学による治療法は、現代医学的な病名にこだわりなく東洋医学からみた異常所見に従って鍼灸治療します。是非ご相談下さい。

 

・参考文献 『臨床医学総論』 /奈良信雄/医歯薬出版株式会社