パーキンソン病とは?

パーキンソン病は、神経系が徐々に変性していく病気で、安静時振戦(筋肉が使われていないときに起こるふるえ)、随意運動が遅くなること、筋肉の緊張度が高まること(筋硬直)によって特徴づけられます。

パーキンソン病の症状

パーキンソン病は知らないうちにはじまり、徐々に進行します。多くの人の初期症状は、手を動かしていないときに起こる、粗くリズミカルな振戦です。最終的には、N字型の進行と呼ばれるもう一方の手、腕、脚にも起こるようになります。

パーキンソン病のおよそ3分の1の人は、初期症状が振戦ではありません。中には振戦が一度も起こらない患者もいます。その他の初期症状には、嗅覚の減弱、体を動かさなくなる傾向、歩行困難、まばたきの回数が減って顔が無表情になる、などがあります。

パーキンソン病の概要および当院でのパーキンソン病への様々なアプローチ法を紹介しています。
主な運動症状リスト
  • 小刻み歩行(歩幅が狭く、ぎこちない動き)
  • すくみ足(最初の一歩がなかなか出せない)
  • 典型的な左右差のある安静時のふるえ(上肢では丸薬まるめ運動/下肢ではタッピング様)
  • ふるえを伴う筋固縮(筋トーヌス:ガクガクとした歯車を回すような感触)  
  • 無動・寡動(声が小さい・小字症/寝返りや着替えに以前より時間を要する)
  • 姿勢反射障害(歩行時にバランスを失い、転倒しやすくなる)
  • 深部腱反射正常範囲/病的反射(−)

パーキンソン病になる原因

基底核の黒質と呼ばれる部位の神経細胞が変性するために、ドパミンの産生量が減り、神経細胞間の接続が減少します。ドパミンの全体的効果は、筋肉に送られる信号を増幅することです。中脳の黒質は筋肉の緊張に関係した神経細胞が集まっているところです。パーキンソン病における神経細胞変性の原因はわかっていません。

当院でのパーキンソン病へのアプローチ法一覧

パーキンソン病の【鍼灸治療方針⒈⒉⒊】

  1. 筋固縮の軽減 
  2. 振戦の軽減 
  3. 自律神経症状の緩和

パーキンソン病の症状と薬剤による副作用の症状とを把握しながら、注意して鍼灸治療を継続します。活動性を最大限に引き出し、できる限りの日常活動(仕事や家事など)にのぞんでいただくことを目的とします。

• YNSA(山元式頭鍼療法)

「YNSA」は脳を刺激して、中枢神経や脳のさまざまな器官、自律神経や脳神経に大きく働きかけます。よってこれらの症状に、大きな効果をもたらすことがはっきりとわかります。

「YNSA」では、手や足など体の部位とつながる【基本点】、額にある目、鼻、耳、口につながる【感覚点】、大脳や小脳、脳幹とつながる【脳点】、心臓、胃、肝臓といった内臓につながる【Y点】、視覚や嗅覚、聴覚などの感覚や顔面の筋肉をコントロールする視神経や三叉神経、顔面神経などにつながる【12脳神経点】などを用い、さまざまな症状にアプローチします。

• 鍼通電

振戦の抑制や脳自体に関連した神経の痛みに対しての、低周波鍼通電。

脳自体に関連した神経の痛みに鍼通電。脳を活性化するために手や足に2Hz〜6Hzの鍼通電を行い、C線維を興奮させます。下行性疼痛抑制系を賦活する手や足などの遠隔部の筋肉への鍼治療。

• 平田式十二反応帯

平田式内蔵十二反応帯により脊髄レベル(脊髄・内臓)の鍼治療を進めます。

体表から内臓に作用を及ぼす各領帯の治療ポイントに、セラミック電気温灸器・使い捨てはりを使用します。パーキンソン病の患者さんに腎帯あるいは膀胱帯の反応が強く出ているケースを多く経験しています。

平田式十二反応帯

以上のようなアプローチ法を組み合わせて鍼灸治療します。パーキンソン病は進行性ではありますが、可能な限り患者さんの身体機能を維持させる方法として、当院のアプローチ法には尽くすことができるものがあると考えます。是非ご相談ください。

参考文献) 福島雅典『メルクマニュアル医学百科』2006 日経BP社