麻痺が残ってしまった患者さんに対し鍼灸で何ができるか?

鍼灸治療方針

  •  リハビリテーションによる機能回復訓練と並行して鍼灸施術を行う。
  •  脳循環の改善、麻痺神経および筋の刺激によって麻痺の回復・進行を防ぐことを目的とする。 
  •  YNSAによる頭皮への刺鍼、拮抗筋パルス療法、ぼう灸・温灸マッサージを用いる。

当院での脳血管障害後遺症へのアプローチ法一覧

• YNSA(山元式頭鍼療法)

「YNSA」は脳を刺激して、中枢神経や脳のさまざまな器官、自律神経や脳神経に大きく働きかけます。よってこれらの症状に、大きな効果をもたらすことがはっきりとわかります。

「YNSA」では、手や足など体の部位とつながる【基本点】、額にある目、鼻、耳、口につながる【感覚点】、大脳や小脳、脳幹とつながる【脳点】、心臓、胃、肝臓といった内臓につながる【Y点】、視覚や嗅覚、聴覚などの感覚や顔面の筋肉をコントロールする視神経や三叉神経、顔面神経などにつながる【12脳神経点】などを用い、さまざまな症状にアプローチします。

• 拮抗筋パルス療法(鍼通電)

上肢屈筋・膝伸筋・足屈筋優位などに見られるマン・ウェルニッケ肢位。痙縮を起こしている筋の拮抗筋群は、持続的に伸ばされて、慢性疲労に陥っています。10〜30Hzの鍼通電で収縮運動を起こさせることで、筋疲労の軽減が期待できます。

• 平田式十二反応帯

平田式内蔵十二反応帯により脊髄レベル(脊髄・内臓)の鍼治療を進めます。

電位的な異常をともなう障害分節(デルマトーム)へセラミック電気温灸器・使い捨てはり、円皮針などを使用し、脊髄性の鎮痛を図ります。

生活の質の低下につながる排泄障害、睡眠障害などの辛い症状に東洋医学的「内臓・自律神経」に対するアプローチを行います。

平田式十二反応帯
• 棒灸(ぼう灸)&MT温灸器

棒状の灸の一端に火をつけ、それを皮膚に直接つけないで、ツボに近づけたり遠ざけたりしながら、温度を加減して行う手法になります。皮膚の表面が赤味を帯びてきて(フレア現象)、体の中に温かみがしみ通るように感じたら、その時点で終了します。非常に気持ちの良いものです。

温灸器の中にねりモグサが入っています。温灸をする部位に薄い布をあて動かしながら温灸マッサージを行います。

温灸施術の道具

以上のようなアプローチ法を組み合わせて鍼灸治療します。リハビリに行き詰まった方からの鍼灸施術依頼をいただいております。ぜひご相談ください。